2009年 04月 25日

目隠ししたままのチキン・レース

日経新聞とか日経ビジネスとか、何年も続けて読んでると面白いのですが、右肩上がりの時代には「機を見るに敏で、積極的に事業投資をして、業績を拡大した名経営者」なんて褒めそやしていた相手を、今では「盲目的な投資で固定費負担を拡大させた」なんて言って、ボロクソに批判していたりするわけです。

その変わり身の早さはともかくとして、残念ながら後者の評の方が往々にして正しかろうと思うのです。

自動車も、半導体も、薄型テレビも、パネルも、その他諸々も、景気の良い時代はとにかくオペレーショナル・レバレッジを上げる方向で、物事を考える。不況の時代には「固定費の変動費化」という言葉(この言葉自体もあまり好きではありませんが)が金科玉条のように語られるけど、業容拡大の時代には全く反対のことが行われる。変動費を固定費化する、すなわち積極的に設備投資をして、外部に発注していた部分もどんどん内部に取り込んで、たとえ固定費が多少膨らもうとも、それを上回るペースで売り上げを増やせば、製品単位当たりに割りかけられる固定費の額が減るから、価格競争力も出る。

周りがそうするから自社もそうしないと負けてしまうわけで、とにかく他者に遅れを取らないようにわき目も振らずに固定費を増やし続ける。そして、最も極端にそんなことをやった経営者が「積極的に事業投資をした名経営者」のように称えられ、それを横目に見るからさらに投資に熱が上がる。

これって、何だか目隠しをしたままチキン・レースをやっているようなもんじゃない?

やっている当人たちが、どこまで行けば危険域なのかを認識しながらやっている分にはそれでも良かろうとは思うのですが、全く何も見えていないから、あっさり崖の先にまで踏み出してしまう。

じゃあ、どうすれば良かったのかと問われると、なかなか良い答えは見つからず、変動費を固定費化せずに拡大するために派遣労働を増やせばいいのかと言うと、やはりそれも違う気がする。

でも、そういう問題にバランスを取りながら、健全に事業を拡大していける人間こそが名経営者なのであって、チキン・レースに参加している人間のうち、最も命知らずな人間を取り上げて「名経営者だ」なんていう風潮は、今回の不景気を機に止めて頂きたいものです。。。

(別に日経新聞や日経ビジネスをあげつらって批判しているわけではなく、世の中の風潮全体の問題としての話です。為念。)
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by kcchicago | 2009-04-25 15:48 | 仕事 | Comments(0)


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