2011年 07月 16日

自動車市場のテレビ市場化

印象論ですがね。

自動車市場がテレビ市場化している気がします。悪い意味で。世界市場での競争で韓国製品に席巻されつつある、という意味で。

失われた10年とか20年とか言いますが、最近の日本の退潮は根本的な勘違いから来ているのかもしれません。

バブルが来る前の80年代前半頃までは、「日本人の賃金は安く、欧米人よりも長時間熱心に働いて、安くて良いものを作るから、日本市場は世界で売れるんだ」と、それが自分の原体験的な認識でした。

それがいつの間にか、「日本製品は高機能で信頼性が高いから、例えば韓国製品よりも多少高くても売れるんだ。そもそも日本人の賃金は高いから、製品価格が高くなるのは仕方がない」という認識にすり替わり、その頃から退潮が始まっているような気がします。

何故か日本人は韓国製品を一段下に見る人が多いですが、そんなことを思っているのは世界中で日本人だけで、欧米市場から見れば日本製品も韓国製品も「安くて良いもの」という同一カテゴリに区切られてしまっています。例えば、その証拠に薄型テレビの世界販売ではあっという間に、韓国製品に席巻され、海外で見かける薄型テレビは軒並みサムスンやLGのものばっかりです。スマホにしても、GALAXYがそこそこ売れているのを見ると、日本市場でも若い世代の人は韓国製品への偏見などなくなってきているのでしょう。

自動車で言えば、かつてレクサスが北米市場でメルセデスやBMWを差し置いてバカ売れしたのは、単にレクサスが「安くて良い車」だったからであって、別にメルセデスやBMWに取って代わるブランド力を身につけたわけではなく、そしてついぞブランド力を身につけられないまま現代が売り上げを伸ばしてきたので、今は北米市場でもトヨタの売り上げが全体的に厳しくなってきているでしょう。

問題をざっくり「ブランド力」と「価格」と分けて考えます。

「ブランド力」を構成する要素はたくさんあって、例えば「ブランドの歴史」なんて持ち出されると、新興ブランドのレクサスはメルセデスやBMWには絶対に勝てないでしょうけど、それ以上にダメなのがデザインかなぁ、と思います。

アウディが近年ブランド力を上げてきているのは、圧倒的なデザインの力があるし、VWもモデルごとにデザイン的な挑戦をしていて、最新のモデルではワッペングリルを取りやめたり(個人的には前のモデルの方が好きですが)、BMWもクリス・バングルを起用してものすごくアグレッシブなデザインに挑み、その後デザイナーを換えてデザインを模索し続けたり。それに対して、日本車の中でも何故かトヨタが一番デザイン力に欠ける気がするのですが、レクサスだとLSは個人的には良くまとまっていると思うけどメルセデスの亜流として本家を越えられない位置に留まっているし、GSは存在感が希薄で、ISは少し幼すぎる印象が拭えない。最近出たCTは何の変哲もないハッチバックに無理や市顔だけいじっておかしなことになってるし…。ことデザインに関しては現代が非常に力を入れているので、あっさりと置いてけぼりを食らいかねないな、と。

「ブランド力」のもう一つの構成要素としては技術的な先進性かと思うのですが、この点について日本車は完全にガラパゴス化してしまっているのではないでしょうか?ハイブリッドを中心にした環境技術云々と言ってみたところで、世界の潮流はディーゼルエンジンになってしまっていて、ディーゼルより重くて高くて燃費の悪いハイブリッドで先進技術を喧伝するにはやや無理があるように思われます。

「価格」については、自動車の原価計算に占める労務費の割合がいくらになるか知らないので偉そうなことは言えませんが、賃金の高さは言い訳にならず、結局はオーバースペックとサプライ・チェーンの弱さに還元されるんじゃないですかね?

まあ、いずれにせよ「ブランド力」なんて一朝一夕で身に着くものではないので、「安くて良いもの」セグメントの覇者を目指して、韓国メーカーと本気の殴り合いをする必要があるのではないでしょうか?

さもないと、薄型テレビ市場のような寒い状況が待っているぞ、と。
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by kcchicago | 2011-07-16 23:24 | 仕事 | Comments(0)


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