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2012年 04月 01日

最適資本構成

特に現在の本業と関係ないので「MBA」カテゴリで上げておきます。

ある会社の最適な資本構成、即ち負債と資本の比率を考えてみる。一般的に言われているのは(と言うか、自分の身の回りでよく聞く話としては)、固定資産、特に会社の根幹となり永続的な保有が見込まれる資産見合いは資本を充て、運転資金見合いは負債で調達するという話。Duration Matchingの観点からは、それが正しいのかもしれないけど、Operational leverageとFinancial leverageから考えると、必ずしもそうでもないかもしれないという話。

Operational leverageというのは、物やサービスを生み出す工程を自社内に取り込み、変動的支出から固定的支出に組み替える代わりに単位当たりのコストを下げられるということ。但し、生産数量が一定量に達しない場合、固定費を回収できずに多額の損失を出す可能性がある。売上が年度によって極端に変動する業種の場合、固定費回収ロスが気になってなかなかleverageをかけられないし、逆に年による売上の変動幅が小さく、将来的にも安定した売上が期待できる場合には、よりleverageをかけられるということになる。

Financial leverageというのは、事業収入や運用による利回りが、負債による資金調達の利率を超える場合に、負債の比率を上げれば上げるほど、資本に対する利回りが向上していくという話。但し、それだけ借金を抱えるわけだから、何らかの理由で収入側のキャッシュフローが滞って、負債の返済に支障をきたすと、会社が財務的に破綻する恐れがある。売上及びそれに伴う現金収入の変動幅が大きい業種では、なかなかleverageをかけることができないし、逆に安定した売上と現金収入が見込める場合は、より負債の比率を上げることができる。

さて、この二つを組み合わせるとどういう結論になるかと言うと、安定した売上が見込める会社では、より固定的支出の比率と負債の比率を上げることができ、そうでない会社は固定的支出を控え、厚めの資本に頼ることになる。

と言うわけで、必ずしもDuration Matchingから考える資本構成(固定資産に資本を充てる)と合致するわけでもないのかな、というのが冒頭に掲げた疑問です。

歴史的に見て、日本企業の場合にこの疑問を解消してくれていたのが、金融機関による長期安定的な資金なのでしょうね。メインバンク制度や、興長銀による長期・低利の安定的な資金。戦後復興から高度成長まで、右肩上がりで経済成長が見込める中、こういった長期の融資を利用して固定資産を導入し、同時にleverageも上げてきた。「Leveraged finance」って、アメリカから輸入されてきた概念ですが、実質的には同業種であれば日本企業の方が負債の比率が高いというのは、よくある話だと思います。(昔、シカゴにいたときに「何故、日本企業は自己資本比率3割程度で会社を運営していけるんだ?それは明らかな危険水準じゃないか?」と、よく聞かれました。)

しかしながら、まあ時代が変わって、もうどんな業種であれ、長期・安定的な売上を期待することもできなくなり、長期の資金の出し手もいなくなってきた。興銀はみずほコーポレートになって、長銀は新生銀行になって、日債銀はあおぞら銀行になってサーベラスに買われてどうなったんでしたっけ?メインバンクだって、いつまでも支えてくれる時代じゃないですしね。。。

一方で、資産側の構成比率はそう簡単に変えられるものでもなく、半導体やら液晶パネルやら、設備投資合戦が続いていたこともあって、反って固定的支出の比率が高まっている事例もあったり。

いつもながらオチのない話で恐縮ですが、事業の先行きを見通した資産の構成比と、それに見合う最適な資本構成は、どの会社でも大きな見直しを迫られていて、なかなか悩ましい問題なのでしょうね。。。(-"-;)
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by kcchicago | 2012-04-01 15:51 | MBA | Comments(0)


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