2012年 11月 18日
今のところ、企業がグローバル化することで雇用が国外に逃げるというのは、専ら製造業の現場を中心として語られていますが、実はホワイト・カラーも十分やばくね?と最近、思います。 経理の人員を比較すると インド人の経理スタッフは ・大卒時に十分な専門的知見を有し ・IFRSにも精通していて ・半数近くの人間が会計士の資格を有し ・英語も堪能で ・日本人の10分の1の給料で ・世界中どこにでも働きに出かける 一方で、日本人は ・経理に配属されるからと言って、必ずしも新卒時に簿記や会計に堪能なわけでもなく ・IFRSが適用延期されてホッとしてる? ・会計士や税理士の資格を持つ人が多いわけでもなく ・英語は非常に苦手な人が多く ・インド人やフィリピン人、ベトナム人の10倍以上の給与を必要とし ・日本からは全く出たがらず、海外でも生活環境の整ったところでしか働けない というのは、あまりに極端な比較ですが、それでも日本人、特に若手はもっともっと危機意識を持った方がいいんじゃないでしょうかね? 日本企業が日本企業である限りは、日本人のホワイト・カラーも必要でしょうけど、例えばシャープのように、日本の大企業であっても経営危機時の資本提携をきっかけに外資がドンドン入ってきたりすると、5年後・10年後には気付けば事実上、外国企業になってしまっている日本企業も少なくないのではないでしょうか? そうなったときに、日本人ではない経営者が上記の目線でグローバル・スタッフを比較したとすると、「ひょっとして、日本人っていらなくね?」と結論付けられてしまう危険性は、あながち笑い飛ばせないものだと思います。 だからと言って、「危機意識を持ってグローバル化に備える」と言われても、具体的に何をどうすればいいのか困ってしまうところではあります。たとえ企業がグローバル化しても、日本国内でのオペレーションを管理する必要は残るでしょうから、国内管理の専門家として会計士や税理士の資格を持った人は生き残るでしょう。じゃあ、資格を持たない人はどうすればいいのか?(「頑張って資格を取れ」というのも、有力な答えだとは思いますが・・・(^^;)) 一つの答えは、やはり日本人の資質の中にあるのではないかと思います。例えば、ものづくりでも日本人はモジュール型よりすり合わせ型が得意だと言われる。完全縦割りのJob descriptionの範囲内の仕事しかしないのではなく、常に全体工程や後工程のことを考え、業務遂行の中でたゆまぬ改善を行い、全体がうまく流れるように目配りすると同時に、細部にもこだわりを見せる。 平時には、各種決済処理や決算作業の効率化を図り、財務会計や管理会計で適時に適切な報告ができる体制を整え、タックス・プランニングにも目配りして社外流出の適正化を図り、財務面でも事業運営の運転資金を限界まで削減することで投下資金効率を最大化し、事業に見合った資金調達を遂行する。異常時には、いち早く数字から異常を発見し、事業再構築のための報告をなすとともに財務リストラを断行し、各種M&Aやバイアウトといった財務取引にも果断に乗り出す。そして、大事なことはこれら全てを英語で、意思疎通の齟齬を引き起こすことなく、できるということ。 彼/彼女に任せておけば、経理・財務は問題ない。全体に目配りしながら、細かいところまできっちりやってくれるだろう。そういう信頼感を得られる人材になれるかどうか。 「スーパーマンにでもなれ、と言うつもりか?」と言われるかもしれないが、そう問われるなら、答えは「Yes.」少なくとも、ライン・スタッフの10倍は働ける人間にならないと、この先、グローバル標準の10倍の給料をくれ、と言えないのではないか。 もちろん、今の自分がそんなスーパーマンであるわけではありませんが、日本の大企業に勤める経理スタッフにとって、国内の大組織の一ファンクションとして勤務するだけではなく、たまには海外に出て、英語環境で、企業経営における経理・財務全般に関わる機会というのは、飛躍的な成長のきっかけとなる非常に貴重な機会だということです。 「最近の若手は外に出たがらない」と言いますが、健全な危機意識を持つとともに成長のチャンスでもあるこういったポジションには、是非手を挙げてきてもらいたい。自分自身の最終帰国を前に、そんなことをつらつら考えています。
by kcchicago
| 2012-11-18 21:20
| 仕事
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