それからの日々

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2005年 12月 18日

のれん代の償却

直接自分が担当している仕事ではないのですが、金曜日(木曜だったかな?)の日経に関連記事が出ていたので、備忘まで。

M&Aなんかで、買収側が買収対象企業の時価純資産額を上回る価格で企業買収をしたりすると、その差額はのれん代としてB/Sに計上しなければいけないわけですが、会計の実務上はそののれん代を償却するやせんやというのが問題になるわけなのです。

社内でも少し客観的な立場でモノを見ている財務部門は、会計の健全性という観点から当然のれん代を償却すべきだと言うのですが、実際にプロジェクトの損益が成績に紐つく立場の人たちからするとそうも言っていられないわけで、色々と反論があるようです。

例えば米国の会計制度では機械的なのれん代の償却は行っていない(定期的にのれん代の価値を確認し、毀損されたと認められるときだけ、毀損相当額を償却する)とか、一々そのような機械的な償却を科していると今後大型投資などできないとか。

しかし、よくよく考えてみると、上記の反論は全てただの難癖のように思えるんですね。米国の会計基準だって昔は20年(だっけ?)の定期償却を義務付けていて、そのルールが廃されたのは産業界への配慮というITバブルを背景にした政治的な動機があって、その結果Good Willでブヨブヨに膨れ上がったB/Sを持つ会社ばかりになって、一度買収した不採算ビジネスを手放すときにGood Willの償却でとんでもない赤字が出るなんてのはよくある話だし、のれん代の機械的償却による機械的なコストの計上が実態を表していないという反論にしたって、本来のれん代を資産として計上するのは、それが将来に渡って収益を上げることが合理的に予想されるからであって、その買収から生み出される利益に対してコストを期間対応すべく機械的に償却するのは、やはり当たり前の話だろうと思うのです。のれん代の償却が損益の足を引っ張ると言うのは、その買収が償却コストに見合うメリットを生み出さない、と自ら言っているのに等しく、それは即ち買収額が高すぎたとうことであり、その場合には期間対応どころか、本来買収時に一括償却してしかるべきものではないかとすら思うのです。

少なくとも、のれん代で水ぶくれしたB/Sを呈示して、「自己資本比率が○○%だ」とか言われても、全くピンと来ないのですが・・・。
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by kcchicago | 2005-12-18 21:11 | 仕事 | Comments(5)
Commented by P at 2005-12-24 02:42 x
激しく同意。
Commented by kcchicago at 2005-12-24 16:36
Pさん、簡潔なコメントありがとうございます。
Commented by P at 2005-12-28 04:54 x
簡潔すぎてごめんなさい。私も「機械的」償却ということに違和感を感じることが皆無とはいえないのですが、そもそも買収時の、のれんの計上そのものがBSの体裁を整える為の機械的な作業ですし、のれんをUpdateして毀損されたと認められた時に調整するといわれても、その毀損の有無を判断する際に、買収後、観念的には当該のれんから生じたと判断される収益、キャッシュをのれんの評価額から「適切に」控除しない限りは毀損の有無の判断も説得力がないように感じるのです。しかし、実際ののれんの時価評価において、買収後の会社のP/Lとの関係が明らかにされているとは思えませんし、そうであれば、買収時ののれんを抱え込み続けるというのは、納得し難いものがあります。アメリカという国は場当たり的に対処する傾向が強い国であって、IT企業の株価を説明するための便法を、理論的に強固な裏づけがあると看做すのは買被りではないかと思えます。(もっとも、長期間社会的に広く認められ、定着したのであれば、それはそれとして合理性があるものといわねばならないかもしれませんが。)
※私は、NY在住の法律実務家ですが、会計は素人なので、変なことを言っていたら突っ込んでください。
Commented by kcchicago at 2006-01-04 16:04
Pさん、こちらにコメント頂いていたのを見落としていました。
シカゴで勉強していたときにUSCPAの人と、観念論としての「あるべき時価会計の姿」と、実際に制度としての運用に耐え得る現実の会計を比較して、あれこれ議論していたことを思い出します。
ところで、PさんはNY在住なのですね。私もビジネススクールの夏休みの間、NYに滞在して自分が勤めている会社のNYオフィスで丁稚をやっていました。ビジネスと娯楽が集中した刺激的な街でした。疲れましたけど。
ではでは、今後ともよろしくお願いします。
Commented by P at 2006-01-05 08:26 x
ご丁寧にありがとうございます。 それにしても。。。年末の雑用に追われて煮詰まっていた時の走り書きとはいえ、書いた本人でさえ何を言ってるか分からないくらい論旨不明瞭でした。 本当に失礼しました。 結論は「機械的償却でおかしくないんじゃない?」って単純なことなんですが。 ところで、また渡米の機会があるかもしれないのですね。 Houstonの拠点を中心としてですが、我がFirmもMHを長年お手伝いしている模様です。機会があればアメリカで一緒に大和魂燃やしましょう!  


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