2006年 03月 10日
今にして思うと、10代の自分は人生に対する考え方が今の自分とは随分と違っていたように思う。 その当時は、「ただ無為に生きるだけの人生なんて意味がない」、「人間、生まれてきたからには何かを成し遂げなければいけない」と恐らくは本気で考えていたはずだし、言うなれば「自分が生まれてきたことの意味」を求めていたようにも思う。 『Chicago Days』の頃から御覧の方は既に御存知かもしれないけど、そんな自分にとって転機となったのは、18歳の頃に起きた1995年1月17日の阪神大震災。自分が生まれ育った町がなくなって、身近にいた6,000人以上もの方がなくなった、という事実は当時の(そして現在も)自分にとって衝撃的な事実であった。 言葉は悪くなるが、この大震災で亡くなった方々の全員が全員、人生で何かの偉業を成し遂げた、あるいは遂げつつある偉人であった、ということはないだろう。では、だからと言って、その人たちの人生が無為であったのか、と言えば決してそんなことはない。きっと多くの人が、多くの人との関わり合いの中、何気ない日常の中で、泣き、笑い、起こり、ときには悲嘆にくれることもあったかもしれないけど、ときには大きな喜びに包まれる、そんなその人自身の人生を生き抜いていたはずであり、選択が許されたのであれば、たとえ何かを成し遂げることはなくても、そんな人生を続けることを選んだだろう。 そういう経験を経て、自分の考え方は大きく変わった。「生きることの意味」というのは、決して「遠い将来」や「ここではないどこか」にあるものではなく、今、自分自身がここに在ってこうして生きていることこそが「人生の意味」そのものなんだろうと。 以上は長い前置きで。 最近、面接官としてMBA受験者の人と会ったり、採用活動の手伝いで就職活動中の学生と会うことが多い。そこではもちろん、「MBAを取って将来何を成し遂げたいか」、「仕事を通じてどういう人生を送りたいのか」ということを問うわけなんだけれど、どうも多くの人が「人生の意味」を追い求めることに必死になり過ぎているような気がしてならない。「MBAを取ってこういうことを成し遂げる」、「社業を通じてこんなことを達成する」、そして「そこにこそ自分の人生の意味があるんだ」と。 幸福の青い鳥はどこにいるんだろうか?現在の自分自身を否定して「MBAを取れば、この会社に入れば、自分にとっての幸福の青い鳥がそこにいるはずだ」と躍起になる人ほど、常に幸福の青い鳥を求め続けて、当てのない自分探しの旅に出てしまっているような気がしてならない。「ここではないどこかへ」と現状を否定し続ける人が本当に青い鳥を見つけることなんてできるのだろうか? 少しクサい言いかたになるけど、幸福の青い鳥はやはり自身の心の中にいるものだと思う。旅に出る前に少し考えてみてほしいのである。自分自身が今ここにいるのはただの偶然なのか?自分はここではないどこかにいるべき人間であって、ここにいることに意味はない、と本気で言えるのか?と。 一つの大きな偶然と言うのは、多くの小さな必然が折り重なった結果に過ぎないのではないだろうか?今、自分自身がここに在るのは、過去に小さな選択を幾つも幾つも積み重ねてきたからなんじゃないだろうか?人によって運不運はあれ、今、自身がここに在るのはその人なりの選択の結果なんじゃないだろうか?そう考えると、自分は今、ここに在るべき人間としてここに在るのだし、だからこそ自分自身がここに在るという、そのこと自体に大きな意味があるんじゃないだろうか? だから、もっと今ここに在る自分を受け入れてやればいい。 今、自分がやりたいと思うことをやればいい。 今、自分が会いたいと思う人に会えばいい。 今、自分が行きたいと思う場所に行けばいい。 それは必ずしも「ここではないどこか」へ行くためではない。 頑張る自分は好きだけど、頑張らない自分だって、認めてやればいい。 今の自分は将来の自分に遣えるためにここに在るわけではない。 何故なら、今、自分自身がここに在るというそのこと自体が、その人の人生の意味に違いないのだから。 そして、本当に今、自分が必然としてここに在ることの意味に納得できたのであれば、幸福の青い鳥が自分の肩にとまっていたことに気づくんじゃないだろうか。 「オレの人生、こんなモンでいいんだろうか?」と悩む多くの知己と そして何より自分自身のために、このエントリを捧ぐ p.s. と現実逃避でブログを更新してみましたが、明日の引越のための荷造りは終わってません。引越と同時にフレッツ光に申し込んだのですが、工事日程の関係で次にネットにつなげるのは19日以降。というわけで、このエントリを最後にしばらくネット難民になります。皆さま、ごきげんよう。そして19日以降も(^ー^)ノ ヨロシク
by kcchicago
| 2006-03-10 22:26
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