それからの日々

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2007年 03月 07日

ROE嫌い

このブログでは、しつこく何度も書いていますが、ROEを尺度に企業の収益力を判断するという風潮がどうにも好きになれないのです。

理由はいくつかあるのですが

①上場企業の場合は、必ずしもROEの分母をコントロールできない

利益が倍になっても株価が3倍になれば、当然ROEは悪化してしまうのですが、一週間ほど前に株価の下落が始まるまでの数ヶ月の株価の急騰振りを見るにつけ、ROEの絶対値が下がったことが、「企業が市場の期待に応える収益を上げていない」ことになるのかどうか、相当疑問に思ってます。

②ROEって、PERの逆数でしょ?

これもあくまで上場企業の場合ですが、PERはどちらかと言うと、株式市場の中で特定の銘柄が割安か割高かという市場の中の尺度として持ちいられるのに対して、ROEになった途端、個別企業の収益力云々の話に還元されてしまうのが若干解せんのです。

③ROEはレバレッジかければ、いくらでも好転するんじゃないの?

①に書いたことと若干矛盾しますが、CFDを無視すると、例えば数千億円規模で借入を行って、その資金を全て自社株買い&償却に使えば、いくらでもROEは好転するような気がするのですが。利払い費用の増加による分子の減少分よりも、分母の減少分の方が大きければ、という条件つきではありますが。

④リターンはリスクとの関係で見るべきでしょ?

業種の垣根とか業態とかを無視して、欧米企業のROEは○○%だから日本企業も見習うべきだ、という議論は、一面では真実であっても、あまりにも幼稚な単純化ではないか?という気がするのです。


じゃあ、「何を指標に企業の収益性や財務的な健全性を見ればいいのか?」という反論が出てきそうですが、個人的には「この指標だけ見ていれば、それでOKである」という精神態度がそもそも思考停止に陥っており、間違っているのだと思います。

かつてシカゴGSBにいたときに会計士のY氏と「会計の観点からすると、経営とはB/S改善のゲームであると言える。では、その前提に立った上で、あるべきB/Sの姿とは何か?」という議論を延々としてた夜のことを思い出しますが、これが結構難しい。

流動比率が高いと思ったら、異様に売掛金が積み上がっていただけだったり
株主資本比率が高いと思ったら、株主資本効率が悪いと批判されたり
装置産業で資産を流動化してB/Sを軽くするのが長期的に見て本当に効率的かは疑問だったり
ちょっと話は逸れますが、日本企業ではメインバンクからの長期借入が実質的にEquityの役割を果たしていたり

B/Sに注目するにせよ、P/Lに注目するにせよ、本当に企業の収益力や財務的健全性を知りたければ、実際にその企業がどういう業種で、どういう業態で、どういうオペレーションをやって、それが財務諸表にどう反映し得るか、といった程度のことは考えないといけないのでしょう。

それでも何か一つの指標だけを絶対的に信奉したければ止めはしませんが、一つ覚えておいた方がいいのは、ちょっとでもMBAなんか齧れば、いや、そうでなくても経理の部署にものの数年もいれば、B/Sを痛めつけてP/Lを改善させる方法なんて皆、山のように知っていますよ、ということ。

まあ、そんな会社は長くもちませんけどね。。。
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by kcchicago | 2007-03-07 21:58 | 仕事 | Comments(0)


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