2007年 05月 02日

ポートフォリオ効果とシナジー

モノの本を見ててもこの視点から綺麗に分析されてるものは見かけないのですが、ポートフォリオ効果とシナジーって、相反するものだろうな、と思うのです。

これまで手がけてきた事業とは異なる事業に手を出すことで、核となる事業を増やし、経営の安定度を高めたい一方で、新たに手がける事業が既存の事業と違うものであればあるほど、これまでの製造設備等の有形資産や、経験・ノウハウ・顧客基盤といった無形資産もそのままでは適用できない。

一方で、これまでの蓄積を活用するために、既存事業の延長線上で物事を考えていくと、結果として同質性の高い事業のみとなってしまい、当初狙っていたポートフォリオ効果が得られなくなる。

ま、当たり前すぎるので分析する価値もないのかもしれませんが。

あと、「経営の多角化」と「本業への回帰」ってのも、そんな二者択一で単純に語っていいのか?という気はします。

バブルの時期は猫も杓子も多角化経営、バブルが弾ければ一斉に本業回帰。でも、ランチェスター経営やってるベンチャーならともかく、ある程度以上に育った企業がいつまでも一本足打法でいいのか、と。例えば、製品自体は既存の延長線上のものであっても、仕様を変えることで従来とは異なる客層を狙うというのも立派な事業の多角化だろう。トヨタがレクサスやってるのだって、そうじゃないか。

例によって支離滅裂気味の文章になってきましたが、言いたいことは「バランスを考えろ」とうこと。「多角化しさえすればいい」とか「本業に回帰しさえすればいい」という、「○○しさえすればいい」という思考パターンにはまった瞬間に、それは思考停止に陥ったのと同じ。経営者が思考停止に陥れば、当然経営には支障をきたす。

自分たちが抱える事業全体をポートフォリオとして眺め、何が足りないのか、どこを伸ばしていくのか、と必死で考え、そしてそのためには自分たちの持つ資源の何が使えるのか、どうやったらシナジー効果を出せるのか、足りないものはどうやって補えばいいのか、また必死で考える。

そのバランスが大事なのだと思います。ポートフォリオ効果だけ語っても無意味だし、シナジーだけ論じても仕方がない。お互い矛盾しがちなものだからバランスを取る。結果として仕上がった事業の総体は、ポートフォリオを重視したら多角化なんだろうし、シナジーを重視したら本業回帰なんだろうけど、二者択一で綺麗に割れるものでもなく、常にその中間点にある。

そういうことなのだと思います。
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by kcchicago | 2007-05-02 22:16 | 仕事 | Comments(0)


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