それからの日々

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2007年 06月 06日

企業財務人材論

今日は午後から出社して定時までしか会社にいなかったにもかかわらず、上は弊社の代表取締役から、某ベンチャーの取締役、果ては○×コンサルといった人たちと、「企業財務を担う人材の資質とは?」といった話から、大企業、ベンチャー、外資における企業財務人材マーケットの需給バランスに至るまで、色んな話をする機会に恵まれました。

MBAで学んだことと、帰国してからの業務を経て、企業財務を担う人材には以下の二つの資質・能力が必要なのではないか、と個人的には考えています。

一つ目は、企業の諸活動を数値として正しく補足する能力。

これは単に「正しく会計処理すればいいんでしょ?」といった話ではなく、そもそもある組織の持つ会計制度がその企業の活動を正しく表しているのか、あるいは本当のスタート・アップ企業なんかでは正しい会計制度をきちんと組織にビルト・インできるのか、といった制度会計・管理会計両面にわたる幅広い知識と経験が必要なのだろうと思います。

その企業がどういう資産を持って、どういう活動を行って、どの事業にどれだけ投資して、どれだけの収益を上げて、追加の投資を行ったときのマージナルな利益や、リストラしたときに固定費も含めてどれだけのコスト削減ができて、それらがボトム・ラインの収益にどういった影響を及ぼすのか?

公認会計士を含めて制度会計の知識を勉強している人は世の中に多いのですが、管理会計を体系立てて理解して、きっちり組織に落としこめる人って、実はそんなに多くなくて、でも企業財務には本当はそういったことの方が重要なのかな、と思います。

そうしないと、わけが分からないベンチャーのように、一般管理費の賦課が正しく行われないために、全事業部門が黒字なのに会社全体では赤字、とか変なことが起きてしまう。で、ABCなんて言葉にもありますが、正しい管理会計を敷くには、その事業活動に対する正しい理解が必要になる。どの活動がコストの発生源で、どの項目に対して賦課すべきなのか、とか。

二つ目は、そういった正しい制度によってレポートされた数値をベースに下された意思決定、事業計画に対し、どれだけ正しく資金調達及び運用できるか、といった能力。

これもまた、単に「低利で資金調達すればいいんでしょ?」といった話ではなく、そもそも事業の投資スパンの長さやボラティリティを考慮して、最適な負債と資本のバランスや、その構成にも気を配りながらの運営ができるか?Duration Matchingとか、MBAのファイナンスの授業でも最も最初に習う項目なのに、実務では意外と忘れられがちだし。某氏の言い方を借りれば、「オレたちの仕事はB/Sの右側をどれだけコントロールできるか、ってことだ。」

例えば、金融商品や税務会計の細かい知識も必要かもしれないけど、それよりもそんなことは外部の専門家に任せながらも、上記二つの資質をもって企業活動を組織的にまとめあげていく能力の方が重要なのだろう、と思うのです。

で、マーケットでの需給を言うと、自分が聞いた範囲の話なのですが、圧倒的に供給が足りていない。全く足りていない。

まあ、MBAでも管理会計は不人気科目の筆頭に挙げられていますし、「財務を勉強しています」と言うと、ほとんどが企業財務ではなく金融商品や市場に関する知識だし、マーケティングや経営戦略に比べると地味だし、やりたがる人、少ないですもんね。

結果、これまた別の某氏がボソッと言っていた「会計士や金融機関出身の人だと、やっぱりちょっと違うんですよねぇ」という言葉にある通り、事業会社の財務担当にジャスト・ミートする人材ってマーケットにはほとんど出てなくて、でも会社組織を作る以上、管理部門の要になり得る人材には需要があるわけで、これはある意味、売り手市場なのかな、と思ったりするわけです。

外資の方はまたちょっと別の事情があるようですが、インターナルなマーケットを見ていて強くそう思いました。需給バランスが崩れていることと流動性の高さとは全く別の話だ、というのがこれまた厄介な話ではあるのですが、今後まだまだ面白くはなりそうです。
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by kcchicago | 2007-06-06 22:31 | 仕事 | Comments(0)


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