2008年 01月 12日

今一度、CSRを考える。

やはりメセナであってはいけないのだろう。

日本がまだバブルに浮かれていた頃、財務に余裕のある企業が「文化活動支援」の美名の下、あちこちにホールや美術館の箱物をぶち立てたり、海外から有名な楽団やら何やらを呼んでコンサートやオペラや、各種スポーツ・イベントを開いたり。それはそれで意味はあったのだと思うけど、バブルがはじめて財務状況が苦しくなったら手のひらを返したようにパタッと支援を止めてしまう。そこには、「文化活動が市民の暮らしに根付いたか」なんて視点は皆無。

これではやはりいけない。

CSRって、「Corporate Social Responsibility」の名称が示す通り、企業が社会の中で活動していくにおいて果たすべき責任をきちんと果たしているかどうかが問われるのであって、そういった視点を本業のビジネス・サイクルにどう落としこんでいくかが大事なのではないか?財務に余裕の範囲で「工場のある地域のために保育所を作りましょう」とか、「砂漠の緑化を進めたら社のイメージも上がるな」とか、そんなしょうもないレベルの話ではないだろう。

その会社が、自身のビジネスを適正に遂行することで社会に対して価値を生み出していく、その際にマイナスの付加価値を生み出す行為(分かりやすくは法令違反や環境汚染等)は徹底的に排除していく。そして、社会に対して生み出した価値を、今度は社会から公正に評価してもらうことで企業としての利潤を上げる。利潤を上げることで、持続可能な活動としてその本業を続けていく。

そう考えると、適正なやり方で自社の本業を全うすることこそが、本来のCSRなのではないか?

当社の例で言えば
・環境に配慮した自然エネルギーの活用を押し進めたり
・同じく環境に配慮して石油エネルギーの燃焼効率を追求したり
・胸を張って社会に受け入れてもらえるように、原子力発電の安全性を技術面だけでなくオペレーションシステム全体の観点から徹底したり
・新たな交通システムを生み出すことで現在の都市交通や運輸面における問題を解決したり
・様々な要素技術を産業界の効率化に役立つよう製品化したり

そういった本業の一つ一つを正しいやり方で進めていくことがCSRであり、CSRを追求することで社会の中に存在することを認められ、利潤を上げていくことが出来る。

そもそも、ビジネスを「社会活動の中で付加価値を生み出し、その価値を社会に認めてもらうことにより利潤を上げ、利潤を上げることにより持続可能なものとして続けていける活動だ」と適正に捉えることができているのであれば、CSRなんて目新しいことでも何でもない。昔も今もこれからも、我々はビジネスマンとして胸を張って自分の本業を進めるだけだ。

そう考えると、「CSRはカネがかかる」とか、「CSRは財務の余裕がある範囲でやるべきだ」などといったように、CSRをコストの観点からしか考えていない発言は、どこか間違っていると指摘せざるを得ない。

また「保育所を作る」とか「木を植える」という話も、それが本業を進めていくために必要なのであれば積極的に行えばいいが、そうではなく「CSRだから、やらなきゃいけない」と考えているのであれば本末転倒だと言わざるを得ない。その活動自体は素晴らしいが、財務状況が悪化すればたちどころに打ち切られてしまうような活動では意味がない。

CSRとは、即ち、自身の本業のビジネス・サイクルにおいて、やるべきことを正しいやり方で進めていくことだ。

そう考えると、本当はもっと注力すべきことがあるんじゃないだろうか?
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by kcchicago | 2008-01-12 21:45 | 仕事 | Comments(4)
Commented by ヤンボー at 2008-01-13 14:48 x
「本業を実直に進めていくことこそがCSRである」、これはそのとおりだと思います。でも、時としてこれにより思考停止→社会との意識のズレ、が生じることがあります。企業が事業活動を行っていく過程で、様々な社会の公共リソースを使っています。環境問題や、会社人間化による少子化、家庭の崩壊、などの社会的問題も、その歪みの一面と言えなくもありません。製品・サービスを通じた社会貢献だけでなく、事業活動を行っていく上での地域社会との共生や、(企業の生産設備ではなく社会公共の人間としての)社員のワークライフバランスへの配慮、などが、いま問われています。そしてこうした幅広い領域への配慮が長期的な企業価値へ影響を及ぼす、というように世の中が(メインストリームの投資家さえも)考えるようになってきています。だから、CSRを経営課題として取り組む企業が増えてきているのだと思います。
「CSRの木を植える」、、、まあ象徴的なアピールとしては許してあげてもいいんじゃないでしょうか。
Commented by kcchicago at 2008-01-13 17:00
ヤンボーさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
別に保育所を開設することや木を植えること自体を否定しているわけではなく、懸念しているのは、むしろ逆の意味での思考停止なんですよね。「保育所を作りさえすればいい」とか、「木を植えさえすれば当社はCSRを達成したんだ」とか、そんな安直に考えていやしませんか?って。
そうじゃなくて、CSRを自社の本業、ビジネスの根幹に関わるものとして、自社のビジネス・サイクルに落としこんで捉えるだけの覚悟はありますか?って。
そういう観点に立つと、若干覚悟が見えてこないと言うか、心許ない気がするんですよね。
Commented by ヤンボー at 2008-01-13 18:15 x
同感です。経営者の熱さ、真剣さが、どのくらいあるか、ということになると思います。
一朝一夕の意識変革は無理だと思うが、悪い水準にはないし、本業で素晴しいものをもっているし、皆さん真面目だから、いずれ落としこめる日がくる信じてますが。
Commented by kcchicago at 2008-01-14 08:44
CSRへの取り組みを始めたこと自体が、まずは大きな前進。
あとは、今後もし業績が落ち込むことがあったときにでも、CSR活動を止めずに続けられるか。5年、10年、20年、30年と続けていけるか。といったことがポイントになるのでしょう。
さあさあ、続けますよ。(`・ω・´)シャキーン


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